いじめ防止基本方針
1 はじめに
本基本方針は,いじめ問題の克服に向けて取り組むよう定められたいじめ防止対策推進法の第13条1項の規定に基づき,児童の尊厳を保持することを目的に,国・県・市・学校・地域住民・家庭・その他の機関及び関係者との連携のもと,いじめの防止等(未然防止,早期発見,早期対応,組織的対応等)のための対策を実効あるものとするために策定するものである。
2 いじめ問題に対する基本的な考え方
(1)いじめの定義について
いじめは,「児童生徒に対して,当該児童生徒が在籍する学校に在籍している等当該児童生徒と一定の人的関係にある他の児童生徒が行う心理的又は物理的な影響を与える行為(インターネットを通じて行われるものを含む。)であって,当該行為の対象となった児童生徒が心身の苦痛を感じているもの」と定義する。(「いじめ防止対策推進法」第2条より) ※けんかやふざけ合いであっても,見えない所で被害が発生している場合もあるため,背景にある事情の調査を行い,児童生徒の感じる被害性に着目し,いじめに該当するか否かを判断するものとする。 |
(2)いじめの態様について
【いじめの態様】 ① 冷やかしやからかい,悪口や脅し文句,嫌なことを言われる。 ② 仲間外れ,集団による無視をされる。 ③ 軽くぶつかられたり,遊ぶふりをして叩かれたり,蹴られたりする。 ④ ひどくぶつかられたり,叩かれたり,蹴られたりする。 ⑤ 金品をたかられる。 ⑥ 金品を隠されたり,盗まれたり,壊されたり,捨てられたりする。 ⑦ 嫌なことや恥ずかしいこと,危険なことをされたり,させられたりする。 ⑧ パソコンや携帯電話(スマートフォンを含む)で誹謗中傷や嫌なことをする。 ⑨ その他 ※文部科学省「児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査」より |
(3)当該児童の特性を踏まえた適切な支援
以下のように特に配慮が必要な児童については,日常的に児童の特性を踏まえた適切な支援を行うとともに,保護者との連携,周囲の児童に対する必要な指導を行う。
① 発達障がいを含む,障がいのある児童
② 海外から帰国した児童や外国人の児童
③ 性同一性障がいや性的指向,性自認に係る児童
④ 東日本大震災等により被災した児童,原子力発電所事故等により避難している児童
3 学校におけるいじめ防止等の組織について
(1)いじめ防止等に関する措置を実効的に行うために,下記の「いじめ防止等対策委員会」を設置する。
① 構成 【校内】 校長,教頭,教務主任,生徒指導主任,養護教諭,当該学級担任等
【校外】 PTA代表,学校関係者評価委員代表,市教育相談員,民生・児童委員
市福祉関係職員,警察等関係者(校内のメンバーも入る)
② 役割 「いじめ防止等対策委員会」は,学校が組織的にいじめの問題に取り組むにあたって,中核となる役 割を担い,下記の具体的取り組みを行う。
○ 学校基本方針に基づく取組の実施や具体的な計画の作成・実行・検証・修正等。
○ いじめの相談・通報の窓口としての対応。
○ いじめの疑いに関する情報や児童生徒の問題行動等に係る情報の収集と記録の共有。
○ いじめの疑いに係る情報があった場合の緊急会議の開催,いじめの情報の迅速な共有,
関係児童 への事実関係の聴取,指導や支援の体制・対応方針の決定と保護者との連携等の
組織的対応。
③ その他 【校内】の組織については,常設とする。また,【校外】の組織については,緊急時並びに
校長が必要と認めたときに招集する。ただし,PTA代表とは常に情報を交換し,共通認識に
立てるようにしておく。
(2)児童理解研修会を定期的に(月1回程度)開催する。
① 構成 【校内】 全教職員
【校外】 必要に応じて講師等を招へいする。
② 役割 児童理解研修会は,定期的に月1回程度開催し,児童の実態について全教職員が把握し,
共通理解・共通実践をもつための研修会である。また,必要に応じて,既存の教育相談委員会を
招集して,当該児童や保護者の窓口になるように対応する。
4 いじめ未然防止のための取組
○ いじめを防止するには,すべての児童がいじめとは無関係に学校生活を送ることはできないことを前提に,
本校におけるいじめの未然防止に取り組んでいくことが必要である。そのために,以下の事項に重点的に
取り組む。
(1)魅力的な授業の創造と主体的な学びづくり
・私たちは,保護者や地域住民に対して積極的に授業公開を行い,意欲的・主体的な学びのある授業を
創造し,「わかる」「できる」授業の充実に取り組むようにする。
・重点研究は国語科で行い,自分の考えをしっかりもつとともに,自分の考えや意見を他と交流し合う中で,
語活動の充実を図るようにする。また,児童の評価アンケートを軸にして,児童の変容を確かなものにし
ていくようにする。
(2)学級経営の充実
・Q-Uテストや生徒指導部によるアンケート等を生かして児童の実態をよりよく把握し,よりよい
学級経営に努める。
・良好な人間関係を図り,集会活動や縦割り班活動等の児童が主体となる活動を多く取り入れて,相手の
立場に立って考えたり認め合ったりすることのできる場を設定する。
(3)教育相談体制の整備
・Q-Uテストの考察と対応策(学級集団の背景,学級の成果と問題点,教師の観察との共通点や
相違点など)を考え,職員研修で共通理解を図る。
・毎月の児童理解研修会の情報をもとに,教育相談委員会を随時開催し,児童理解を深めて教育相談の充実
に努める。
(4)道徳教育の充実
・道徳の授業を通して,児童の自己有用感を高め,「いじめをしない」「いじめを許さない」という人間性
豊かな心を育てる。
・全ての教育活動において人権尊重の精神や思いやりの心を育てる。
(5)情報端末機器に対応した未然防止について
・児童のインターネットに関する使用状況調査を行い,児童の現状を把握して実態に即した指導を行うと
ともに,保護者に啓発活動を行って,インターネットでのいじめの予防を図る。
(6)その他
・保護者や地域住民には,ホームページ等で学校いじめ防止基本方針で公開し,その内容を年度始めの
PTA総会において説明し,啓発していく。
5 いじめの早期発見の取組(学校で)
○ 子どもたちは学校生活の様々な場面で,サインを発している。私たちは,そのサインを見逃さず早期に
対応することが大切である。
6 いじめへの対応
いじめを発見した場合は,全体に対する指導だけで終わるのではなく,いじめた子どもやいじめを受けた
子どもへの個別の指導を徹底するとともに,周りの子どもへの指導も重要である。また,いじめている子ども,
いじめを受けている子ども双方の家庭にいじめの実態や経緯等について連絡し,家庭の協力を求めることが
大切である。
(1)いじめを受けた子どもへの対応
○ 何があってもいじめを受けている子どもの立場に立って対応することが大切である。
○ 「あなたを絶対守り抜く」ということをきちんと伝えることで安心感をもたせ,心の痛みを温かく受容し,
共感的理解に努めながら信頼関係を築き,心のケアを図る。
(2)いじめている子どもへの対応
○ 心理的な孤立感・疎外感を与えることがないようにするなど,一定の教育的配慮のもとに指導することが
大切である。
○ いじめの非人間性や他者の人権を侵す行為であることに気付かせ,他人の痛みを理解できるようにねばり
強く指導を継続する。
(3)周りの子どもたちへの対応
○ どんな理由があろうといじめる側が悪いという意識を高めることが大切である。
○ いじめに関する事実を確認することで,いじめを受けた子どもの心の痛みや苦しみを感じさせ,見て見ぬ
ふりをしたり,はやし立てたりする行為もいじめと同様であることを理解させる。
(4)いじめを受けた子どもの保護者への対応
○ 家庭訪問等で話し合いの機会を早急にもち,具体的な対応策を協議することが大切である。
○ 誠意ある対応を心がけ,学校としていじめを受けている子どもを守り通すという立場を明確にして,
信頼関係を築き,解決するまで継続的に連携する。
(5)いじめている子どもの保護者への対応
○ いじめの事実を正確に伝え,子どものより良い変容のためにも毅然とした指導が必要だと理解してもらう
ことが大切である。
○ 教師が仲介役となり,いじめを解決するために保護者同士が理解し合い,協力し合うことが重要である
ことを伝える。
7 ネットいじめへの対応
(1) 学校全体で情報モラルの指導計画を策定し,体系的に情報モラルの指導を行う。
(2) 子どもたちに情報化社会でのルールやマナーについて考えさせ,誹謗中傷はいじめであり,人間として
恥ずかしい行為であることを理解させ,絶対にさせないように指導の徹底を図る。
(3) 子どもたちや保護者にネット使用の危険性を知らせ,フィルタリングをかける等,危険から身を守る知識
と技術を身に付けられるように指導する。
(4) ネット上の不適切な書き込み等については,被害の拡大を避けるために,直ちに削除の措置をとる。
(5) 名誉棄損やプライバシー侵害等があった場合,プロバイダに対して速やかに削除を求めるなど必要な
措置を講じる。
(6) 削除等の必要な措置をとる場合,東根市教育委員会の指導を仰ぐとともに,必要に応じて法務局または
地方法務局の協力を求める。なお,児童の生命,身体または財産に重大な被害が生じる恐れのある時は,
直ちに村山警察署に通報し,適切な援助を求める。
8 いじめ解消の要件
(1) いじめに係る行為が止んでいること
被害者に対する心理的叉は物理的な影響を与える行為が止んでいる状態が相当の期間継続していること。
この期間とは,少なくても3か月を目安とする。
(2) 被害児童が心身の苦痛を感じていないこと
いじめが止んでいるかを判断する時点において,被害児童がいじめの行為により心身の苦痛を感じて
いないかどうか,被害児童本人及び保護者に対し,面談等により確認する。
※これらの要件が満たされている場合であっても,必要に応じ,他の事情も勘案して判断する。
9 重大事態への対処について
(1)重大事態の定義(いじめ防止対策推進法より)
① いじめにより児童の生命,心身又は財産に重大な被害が生じた疑いがあると認められる場合。
② いじめにより児童が相当の期間(年間30日を目安とする)学校を欠席することを余儀なくされている
疑いがあると認められる場合。
③ 児童や保護者から「いじめられて重大事態に至った」という申し立てがあった場合。
(2)重大事態と想定されるケース
① 児童が自殺を図った場合。
② 身体に重大な傷害を負った場合。
③ 金品等に重大な被害を被った場合。
④ 精神性の疾患を発症した場合。
(3)重大事態への対処
① 校長は,重大事態が発生した旨を東根市教育委員会を通して東根市長に素早く報告する。
② 校長は,ただちに「いじめ防止等校外対策委員会」を招集し,下記の項目について調査し,明確にする。
1)いじめの行為が「いつ」「誰から」「どのような態様であったか」
2)いじめを生んだ背景事情や児童の人間関係にどのような問題があったか。
3)学校,教職員はどのように対応したのか。等
③ 校長は,重大事案に係る事実関係の調査及び事後対応,発生防止等については,必要に応じ,
東根市教育委員会,村山教育事務所「いじめ解決支援チーム」,村山警察署,児童相談所,と連携を
図りながら進めていく。
④ 情報の共有範囲については市教委と協議する。隠さないことを原則とするが,個人情報の保護等について
十分配慮していく。
10 点検及び評価
〇 いじめ問題に関する取組が機能しているかどうかを点検し,常に見直しを図りながら推進する
PDCAサイクルを確立する。
(1) 県教育委員会等が行う点検・評価
① いじめの実態に関する調査結果の分析と観察(問題行動等調査,定期調査,事故報告等)
② 「山形県いじめ問題審議会」による点検・評価
(2)学校が行う点検・評価
① 学校評価において,その目的を踏まえていじめの問題を取り扱う。また,評価結果をとらえて改善に
取り組んでいく。
② 評価については,いじめの有無やその多寡のみを評価するのではなく,いじめの実態把握や対応が
促されるように設定し評価していく。
③ 学校の生活での満足度や居心地の良さなどを調査してきたGTOカードは継続して使用していく。
④ 学年懇談会やPTA評議員会等において,学校で取り組んでいるいじめに係る学校の基本方針や
その取組や結果等について公表し,いじめ問題の重要性認識を広めるとともに,家庭や地域との緊密な
連携を図る。
(3)校内におけるいじめ防止のための対策について
① いじめ防止校内委員会で策定した計画に基づき,いじめの未然防止,早期発見,早期対応の取り組みを
徹底し,その取り組み状況を客観的に振り返り,改善を図る。
② 学期末の職員会議において,いじめ問題の成果と課題を確認しながら,改善の方策を明確にし,
全教職員で共通問題を図る。
11 その他
○ この基本方針は,必要に応じて加除修正していく。